faults   2003/03/12
セカンドアルバム。5曲という収録数ですが、1曲1曲の個性が際立っていて完成度が高く、聴き応えは充分です! ライブを経た所為か、聴く人や演奏する人がyukihiroさんの世界に入ってきたと言うか…前作よりも比較的キャッチーで聴きやすくなった印象かな?
曲調としては、前作の延長線上にあります。一番変化したところは、ボーカルの使い方! 前作よりボーカルが若干ですが前に出ていて、コーラスも凝っていて、魅力がより引き出されてますね。また、音の重ね方が立体的になっていて、奥行を感じる仕上がりになっています。
注目曲

1.enmity  nabe,yukihiro:詞曲
ライブメンバーのnabeさんとの共同制作。隅々まで破壊衝動とエネルギーに満ちた1曲。攻撃的なボーカルと分厚く重ねられた迫力のギター。それらがデジタルな音と絶妙な融合を見せていて、1曲目から独特の世界に圧倒されます。
ライブでも盛り上がる曲ですが、ライブバージョンはラストが異様に長〜くアレンジされていて…ファンの体力が試されてます(笑)

2.imagining noises  yukihiro:詞曲
サビの不気味なコーラスやら女性の囁き声やらはimagining noisesの象徴なのかな? その他、聴こえるギリギリのyukihiroさんらしきコーラスも、ところどころ入ってますね。「我思うゆえに…」という有名なフレーズを彷彿とさせるような哲学的な歌詞です…。
曲はシャッフルのリズムが心地よいですね。このリズムが重いギターを重々しくなく聴かせてくれます。こちらもライブで訊きたい1曲。

3.perpetual motion  yukihiro:詞曲
曲全体に気だるい倦怠感が漂っています。何度門をくぐっても、向こう側には行くことが出来ない。多分、1つの門を通過しても新たな門が出現するってことなのかな? これ以上進むことは無い、という到達感が得られない。周囲もそれを認めない。主人公はそんな人生に飽き飽きしているみたい…。
音は全体的に汚れていて、主人公の心にある鬱屈した気持ちと重なります。ドラムの底を補強するように刻まれる無機質なリズムの音や、ベース音っぽい不気味な音は、これまでの曲にはあまりないアレンジ。深さがあって面白いです。

4.switch  yukihiro:詞曲
テクノっぽい1曲。生音はほとんど入って無いんじゃないかな? ボーカルが後半にだけ入ってますね。switchが何のスイッチなのか分かりませんが…冒頭部分の微妙に残響を残した音は、廊下に響く靴音のよう。走っているような戦っているような、どこか緊迫感のある曲。

5.faults  toni halliday:詞/toni halliday,yukihiro:曲
前アルバム「acid android」に収録されている「amniotic」の別バージョンになります。イギリスのバンドCURVEの女性ボーカリストtoni hallidayさんが参加! メインボーカルがtoni hallidayさんで、yukihiroさんがコーラス。
サウンドの骨子は同じですが、歌メロはtoni hallidayさんによるもの。迫力のあるサウンドが逆に繊細で儚いメロディを引き立てていて、「amniotic」とはまた違った雰囲気ですね。女性ボーカルということもありますが、心が騒ぐような、不思議で綺麗な1曲です。